SAGA2024 全国障害者スポーツ大会

新たなスタートを切った「全障スポ」を陰からお手伝い
株式会社田中貴金属グループは2012(平成24)年に日本パラスポーツ協会(JPSA)のオフィシャルパートナーとなって以来、グループ会社を含む社員によるパラスポーツ大会のボランティアを続けてきました。今回の「SAGA2024 全国障害者スポーツ大会」にも、およそ30人のボランティアが参加しました。従来、国民体育大会(国体)と一緒に開かれてきたこの大会ですが、今年から国体が「国民スポーツ大会(国スポ)」と名称が変わり、その記念すべき第一回目がここ佐賀県で行われました。
社員ボランティアが参加したのは10月26日(土)と27日(日)の2日間。そのうち27日の模様をご報告します。


晴天のもと、各持ち場で活動開始
10月27日は、朝から晴れやかな好天に恵まれて始まりました。田中貴金属から参加したボランティアメンバーは7時に、陸上競技の会場となっているSAGAサンライズパーク内のSAGAスタジアムへ集合し、各自の持ち場に散りました。活動は会場外での案内係、選手の誘導係、そして競技の補助などです。投てき競技のボールの受け渡しを担当した社員は「選手によって障がいの種類も程度もさまざま。ボールを渡すだけと言っても、しっかりと見て最適な対応をするよう心掛けた」と後で語っています。このように、選手の障がいの程度やその時のコンディションに加え、競技やプログラムの進行につれ状況はさまざまに変わり、その都度臨機応変に対応する必要が生じます。スポーツ大会のボランティア活動が初めての社員もいて、当初は戸惑ったり不安に思ったりもしていましたが徐々に慣れ、また、選手から「ありがとう」の言葉を掛けられて感激することもありました。
ボランティア活動には大会の協賛企業のほか大学生や高校生も多く、地域や世代を超えた交流も生まれました。ボランティア活動のグループの中では、リーダーシップを取ったり、気働きをしてみんなを支えたりと、自然に役割が決まってくることも。こういった体験も、経験値をひとまわり上げてくれます。
まるで夏に戻ったような日ざしのもと、こうして午後まで忙しく立ち働きました。やや疲れた顔は見せたものの、大会運営には欠かせない存在であるボランティアをしっかりと務めたことで、どの顔も充実した表情で満ちていました。

田中電子工業の地元で奮起
今回、全障スポの行われた佐賀県には、田中電子工業の本社があります。2002(平成14)年にこちらへ本社を移して以来、20年以上の歴史を重ねてきました。地元で行われる大会とあって、田中電子工業社員の意気込みも大変強く、田中電子工業の本社からは13名が応募、うち8名が実際にボランティアとして参加しました。そのうちの一人は、「地元ということで地域貢献に参加したいと思って」と動機を話しました。
今回はさらに田中電子工業から、ボランティア参加者のサポート役を買って出る社員もいました。参加社員の取りまとめ、移動のサポートのほか、会場付近の情報共有など地元ならではの強みが生かされました。「地元開催の大会なので、田中電子工業からの参加者はもちろんのこと、多くの社員に佐賀に来て滞りなく活動してもらえるよう『ボランティアのボランティア』として動いた」と語ります。各地から集まる社員に佐賀の魅力を知ってもらえるよう、工夫もしたそうです。

参加したなかには「飛行機に初めて乗った」「九州には初めて来た」という社員もいるなかで、無事に活動を行えたのは、このような想いを持った協力者がいてこそ。グループ内のコミュニケーションが、さらに活性化される機会となりました。

会場に広がるパラスポーツ支援の空気
陸上競技の会場であるSAGAスタジアムの場外には、ご当地グルメのエリアや地域団体の出展エリアが設けられ、どこも大変なにぎわいを見せていました。その中で目を惹いたのが、パラスポーツに協賛している企業のブース。特に「大同生命保険株式会社」様は、大会への特別協賛を続けていらっしゃる企業です。「大同生命保険株式会社」様のブースにはボッチャや輪投げなど充実したコーナーがあり、興味を持ったたくさんの来場者がブースに来ていました。特にボッチャの体験コーナーは人気があり、皆さんが赤や青のボールを投げて楽しんでいて、パラスポーツの裾野が広がっていくのを実感できました。ほかにも協賛各社や社会起業の物販ブースなども並び、インクルーシブな社会(障がいの有無や性別、国籍、人種などに関わらず全ての人々を包括する社会)に向けた確かな取組が見えてきました。


参加して感じたこと・思ったこと
今回のボランティア活動を通じて、障がい者と接するのが初めてという社員もいました。慣れないうちは接し方に戸惑いながらも、選手も緊張しているのを感じ取り、何か困りごとはないか気を遣い声掛けできるようになったとのこと。また、田中貴金属ではパラスポーツボランティア参加にあたり、事前に「ユニバーサルマナー検定3級」の受講機会も設けています。これは、高齢者や障がい者に関する基礎知識と向き合い方を学ぶための入門講座です。受講したおかげで安心して活動できた、という声も聞かれました。式典表彰係を受け持った社員は、ユニバーサルマナー検定を受講した経験を活かして、受賞者に聞こえるよう拍手や声掛けをして積極的に讃えたと話します。「来年も機会があれば参加したい」という気持ちも生まれました。何度か参加している社員は、「見返りを求めずボランティア活動に向き合っているのが好きなのかも」と自己分析をしています。
SAGAスタジアムには、一般の観客のほか選手の家族や友人なども多く訪れます。会場案内のボランティアは、どの競技はどこで観戦したらいいかも把握しておかなければなりません。担当した社員は「障がいの有無に関わらず、会場に訪れる様々な人に臨機応変に対応する必要があった。思いがけない質問も多かったが、大会スタッフと連携しながら対応した」と体験を語ります。おもてなしの気持ちを大切に、笑顔で対応することも心掛けたそうです。
活動中はほかのボランティア参加者と共同で任務に当たることもしばしば。その日その場で初めて顔を合わせた人たちですが、チームワーク良く連携して活動をしていました。ある地元銀行からは数百人単位でボランティアに参加していて、地元愛を感じたという声も聞こえました。
この思いを大切にこれからも進んでいきます
今回ボランティア活動を終えてみて、参加者は障がい者スポーツの意義と素晴らしさを再認識することができました。パラアスリートとその周囲の人々が協力し合い、選手同士が励まし合い、たたえ合う姿を目の当たりにして、より強い実感に繋がりました。競技中の選手を間近で見る機会もあり、「視覚障害のある選手が音だけを頼りに全力疾走する、その勇気と速さに感動をもらった」という感想もありました。
田中貴金属では、このような障がい者スポーツのほかDE&Iなどにも会社として本気で取り組んでいます。そして社員には「それに役立ちたい」という気持ちが芽生え、積極的な活動につながっているのかもしれません。有志の社員によるボランティア活動が、田中貴金属全体へ、やがて社会全体へ広がっていくことでしょう。


