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貴金属を知る貴金属のやわらかい話

カーボンニュートラルって何?実現するとどんないいことがあるの?

#サステナブル
温暖化の原因とされる「温室効果ガス」を減らす取り組みとして、注目を集める「カーボンニュートラル」。これまでに日本を含む約150か国(2022年現在※)が「2050年までのカーボンニュートラル実現」を表明しています。そもそも、カーボンニュートラルはどのような取り組みで、どんな効果が期待できるのでしょうか?田中貴金属グループの取り組みを例に確認しておきましょう。

※出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
https://www.nedo.go.jp/content/100953117.pdf

そもそもカーボンニュートラルとは?

にゃんこ
最近、「カーボンニュートラル」っていう言葉をよく聞くんだけど、どんな意味なんだろう?
博士
カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因といわれている「温室効果ガス(大気中の二酸化炭素やメタンなど)」の排出量を、2050年までに「全体としてゼロにする」取り組みのことじゃよ。カーボン(Carbon)とは英語で「炭素」、ニュートラル(Neutral)は「中立、どちらにも傾かない」という意味じゃ。
クマさん
「全体としてゼロにする」ってどういうこと?
博士

「温室効果ガスの排出量-吸収・除去量=0」にしよう、ということじゃ。温室効果ガスは、主に石油や石炭などの化石燃料を燃やすことで発生する。発生した温室効果ガスを植林によって吸収したり、地中に埋めて除去したりすることで、排出量をプラスマイナス・ゼロにすることを目指しているんじゃよ。

博士がカーボンニュートラルについて説明している。博士「最終的にゼロにすることを目指すんじゃ」

※出典:環境省「脱炭素ポータル」https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/
「カーボンニュートラルとは」(環境省) (https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/) をもとに図を加工して作成

なぜ今、カーボンニュートラルが注目されているの?

にゃんこ
なるほど。カーボンニュートラルは、温室効果ガスを減らして温暖化をストップするための、大切な取り組みなんだね。でも、なぜ「2050年まで」という期限が付けられているの?
博士
温暖化による気候変動が予想以上の速さで進み、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしているからじゃよ。みんなも気が付いていると思うけれど、最近、世界中で猛暑や大雨が頻繁に起きているじゃろう?この状況が続けば、農業や水産業、水資源、自然生態系、健康、自然災害、産業・経済活動など幅広い分野に、ますます大きな影響が出ると指摘されているんじゃ。このままでは、美しい自然環境や便利で快適な暮らしを未来の人たちに、のこせなくなってしまう可能性が高い。

そこで、2015年にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で、地球温暖化対策に関する基本方針として「パリ協定」が採択され、カーボンニュートラルが世界共通の目標に掲げられたんじゃ。今では、日本を始め全世界の150か国が2050年までのカーボンニュートラルを表明して、様々な取り組みを始めているんじゃよ。

カーボンニュートラル実現には
「クリーンエネルギー」への転換が不可欠

クマさん
カーボンニュートラルを目指して、日本では具体的にはどんな取り組みが行われているの?
博士
わかりやすい例として、産業用から資産用、宝飾品まで幅広く貴金属製品の開発・製造・販売を手掛けている田中貴金属グループの取り組みを紹介しよう。田中貴金属グループでは気候変動対策を重要な経営課題の一つに位置付けていて、2022年4月に「田中貴金属グループ カーボンニュートラル宣言」を表明。2050年までのカーボンニュートラル達成を目標に、「ポラリス大作戦」と銘打ったプロジェクトを展開しているんじゃ。
にゃんこ
ポラリス大作戦?なんだか、楽しそうな名前だね!
博士

ポラリス(=北極星)を「不動の道しるべ」の象徴として、「CO2(二酸化炭素)削減目標に向かって確実に歩みを進めよう」という意味が込められているそうじゃ。2024年4月にはポラリス大作戦の一環として経済産業省のGXリーグ(※)に参画、同じくカーボンニュートラルに取り組む企業や官公庁、大学などとの交流や協働を通じて、石油や石炭などの化石燃料を使わない「クリーンエネルギー」を中心とした社会の実現を目指して活動しているんじゃ。

※GXリーグ:「カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群がGX(グリーントランスフォーメーション)を牽引する枠組み」のこと。2024年度では半導体等の製造業や不動産、運輸業や情報通信業など幅広い業界から747者が参画している。

クマさん
化石燃料をクリーンエネルギーに転換して、カーボンニュートラルを実現しようとしているんだね。
博士
そうじゃ。カーボンニュートラルの実現には、①エネルギーの使用量そのものを減らす取り組みと、②使用するエネルギーのクリーン化(化石燃料を使わず、太陽光発電や燃料電池によるクリーンエネルギーを活用すること)の、両軸で取り組むことが重要なんじゃ。ビジネスが成長すると、オフィスや工場を稼働したり商品を製造・輸送したりするために、どうしてもエネルギーがたくさん必要になるんじゃが、際限なく使っていると大量の温室効果ガスを排出してしまう。じゃから、エネルギー使用量自体を減らす工夫をしつつ、クリーンエネルギーに転換できるところは転換して、温室効果ガスの排出を抑える工夫が必要なんじゃよ。

オフィスや工場で、次々にカーボンニュートラルに挑戦!

にゃんこ
例えば田中貴金属グループではどんなことをやっているの?
博士

まずは2024年に出来上がったばかりの新本社ビル(東京都中央区茅場町、地上8階・地下1階建て)を見てみよう。このビルには断熱効果の高い窓ガラスやLED照明が導入されていて、従来の建物に比べて必要なエネルギー消費量が51%も削減されているんじゃ。こういった取り組みが評価され、新本社ビルは国の環境基準を満たす建築物「「ZEB ready」として認定されているそうじゃ。

※ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
※引用元:https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/

工場での取り組みも進んでいる。生産工場への太陽光発電の導入を進めているほか、リサイクル事業の重要拠点である神奈川県湘南工場に、国内の民間利用では発電容量が最大級となる500kW(キロワット)の「定置型純水素燃料電池設備」の導入を決定、2026年の稼働開始を予定しているそうじゃよ。湘南工場ではこの設備の導入によって使用電力量の25%が燃料電池発電に替わり、年間1,979t(以下田中貴金属グループ計算値)のCO2排出量削減が見込まれているそうじゃ。この削減量は、湘南工場における2030年CO2排出削減目標の32%にもあたるんじゃよ。

にゃんことクマさんが話をしている。にゃんこ「カーボンニュートラルの実現に向けて積極的に取り組んでいるんだね」くまさん「いろいろな取り組みをしているんだな」

企業と一緒に頑張ろう!
私たち一人ひとりがカーボンニュートラルの「主役」

クマさん
いろいろな取り組みが進んでいるんだね。田中貴金属グループの中には、すでにカーボンニュートラルを達成している拠点もあるの?
博士
一部の拠点で達成している。例えばグループ企業の「田中電子工業株式会社」や「EEJA株式会社」、田中貴金属直営店「ギンザタナカ」(銀座、横浜元町、名古屋、大阪心斎橋)では再生可能エネルギー電力が導入済みで、カーボンニュートラルを達成しているそうじゃ。
にゃんこ
へえ!ますます、これからが楽しみだね!カーボンニュートラルってとっても難しそうだけど、積極的に取り組む企業が増えれば、決して実現不可能ではないよね。
博士
そうじゃね。でも、カーボンニュートラルは企業だけの問題じゃないんじゃよ。みんなの住んでいる町や市などの自治体でも力を入れているし、みんなの普段の暮らしの中でも挑戦できるものなんじゃ。無駄な電気を消す、なるべくゴミを出さない、長期間使わない電化製品のコンセントは抜いておくなど、できることはたくさんあるよ。
クマさん
たしかに、たくさんありそう!まずは、僕にもできそうなことを書き出してみるよ!
にゃんこ
僕もやってみようっと。博士、今日はありがとう!

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