南アに代わって「金産出量世界一」に輝いたのは?
金の産出国と言うと、地下資源の豊富なアフリカ諸国を思い浮かべる人が多いかもしれません。確かにアフリカには金が採れる国がいくつかあり、中でも南アフリカ共和国は1970年代初頭には世界総産出量の7割を占めるなど、世界随一の金産出国として知られていました。
しかし、金鉱脈の発見が相次いだこともあって中国では金産出量が増え続け、2020年現在では中国が「金産出量世界一」となっています。
プラチナは南アフリカがダントツ!
プラチナの産出地は金よりもさらに限られており、南アフリカとロシア、北米(アメリカとカナダ)、ジンバブエなど、ごく一部の国や地域でしか産出されていません。中でも南アフリカの産出量は群を抜いており、2020年の産出量は102.6トンと世界総産出量の大半を占めました。南アフリカに次いで多いのがロシア、次いでジンバブエ、カナダ、アメリカと続いています。
なお、プラチナは単体で採掘されることは珍しく、パラジウムなど他の貴金属やニッケル、銅などと一緒に採掘されるケースがほとんど。プラチナを主として産出しているのは南アフリカの鉱山のみで、ロシアではニッケルの、北米ではパラジウムの副産物としてプラチナが採掘されることが多いようです。
日本でも、金やプラチナが採れるの?
日本でも奈良時代以降、各地で金が発見・採掘されてきました。このうち最も産出量が多いのは1985年から採掘が始まり、これまでに約200トンの金を産出している菱刈鉱山(鹿児島県伊佐市)で、現在も年6トン(日本の年間総産出量の9割超)を産出しています。菱刈鉱山の金は、その品位の高さで知られ、鉱石1トン中に含まれる平均金量が約20グラムという高品位(世界の主要金鉱山の平均品位は3~5グラム)を誇っていると言われています。
一方、プラチナは残念ながら日本国内ではほとんど産出されておらず、北海道内の一部の河川で、ごく少量の砂白金(さはっきん、プラチナを含む砂金)がみつかっている程度です。
このように主要産出国に比べると天然の貴金属資源が少ない日本ですが、貴金属を使って作られた製品(携帯電話やパソコン、自動車など)は、国内にたくさんあります。近年、このリサイクル可能な貴金属は「都市鉱山」と呼ばれ、貴重な資源として注目を集めています。