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貴金属を知る貴金属のやわらかい話

金箔アートで日本人の美意識を体感!

#金 #体験レポート
金を紙状に薄く伸ばした「金箔」。日本では古くから美術品や室内装飾に多く使われてきました。私たちはなぜ、金箔に心惹かれるのでしょうか?今回は金箔を使ったアートが堪能できるホテルを取材し、その理由を探ってみました。

日本人が金箔に惹かれるのはなぜ?

次のお休みに旅行に出かける予定のにゃんことクマさん、いろいろなガイドブックを見ているうちに気になる建物をみつけたようです。

にゃんことクマさんと博士が、金閣寺が写ったガイドブックを見ながら話している。博士「日本人独特の美意識が宿ってるんじゃよ」クマさん「うわぁ、これは目を引くね」
にゃんこ
見てみて!この建物、金色でとてもきれいだよ!
クマさん
本当だ!屋根以外は全部金色ですごく豪華!何ていう建物なの?
博士
京都にある金閣寺(きんかくじ)という有名なお寺じゃよ。室町時代に足利義満という将軍が建てたもので、『古都京都の文化財』 としてユネスコの世界文化遺産にも登録されているんじゃ。
にゃんこ
本当に全部が金でできているの?
博士
いや、建物自体は木造で、上から金箔(きんぱく)を貼っているんじゃよ。
クマさん
金箔ってどんなもの?
博士
特殊な技術で金を紙のように薄く伸ばしたもので、金閣寺には10.8cm四方の金箔が約20万枚も使われているんじゃ(※1)。
にゃんこ
20万枚も!だから、こんなにきれいに輝いているんだね!
博士
金箔の輝きは、華やかでありながら控えめで上品じゃろう?わびさびを大切にする日本人の美意識にもぴったり合うんじゃ。だからこそ、金箔は昔から美術品や工芸品、室内の装飾などに使われてきたんじゃよ。
クマさん
室内の装飾?
博士
そう。昔から日本人は壁やふすまに金箔を貼ったり、金箔を使った絵を描いたりして楽しんできたんじゃ。金閣寺の室内の壁や天井にも金箔が貼られているんじゃよ。
にゃんこ
へえ~!金箔を使ったお部屋、素敵だろうなあ~。一度でいいから入ってみたいな!
博士
金閣寺の中に入るのは難しいが、東京には金箔を使ったアートのある部屋に泊まれるホテルがあるぞ。わしは一度泊まったことがあるが、それはそれは見事じゃった。
にゃんことクマさん
そうなの?じゃあ、今度の旅行は東京に行って、僕たちもそのホテルに行ってみたい!
博士、良いことを教えてくれてありがとう~。

※1 出典 国立国会図書館レファレンス協同データベース
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000004492

「パークホテル東京」のアーティストルームで金箔アートを!

にゃんことクマさんが、パークホテル東京・広報の早乙女さんにホテルを案内してもらっている。早乙女さん「たっぷり楽しんでくださいね」にゃんこ・クマさん「金箔アートのお部屋、見せてくださーい」

にゃんことクマさんが向かったのは、東京・汐留にある「パークホテル東京」。
今回は特別に、広報の早乙女さんがホテルを案内してくれました。 

早乙女さん
ようこそ、パークホテル東京へ!
にゃんことクマさん
よろしくお願いします。ホテルのロビーに入ったとたん、たくさんのアートがあって驚きました。とても素敵ですね。
早乙女さん
ありがとうございます。パークホテル東京では「日本の美意識が体感できる時空間」というコンセプトのもと、ホテル全体でアートを意識した空間づくりを進めています。ロビーだけでなく廊下やエレベーターホールなどいろいろな場所にアート作品を展示しているんですよ。今日、にゃんこさんたちに泊まっていただくお部屋も、アーティスト自らが改装を手掛けた「アーティストルーム」です。
にゃんことクマさん
へえ!どんなお部屋なのか、楽しみです。
早乙女さん
アーティストルームは全部で30室以上あります。にゃんこさんたちが金箔に興味をもっていると聞いたので、今回は金箔をたくさん使ったアートをお楽しみいただけるお部屋「桜」にご案内しますね(※2)。どうぞ、こちらです。

※2 アーティストルームの事前確約は原則として不可。
予約時にリクエストした部屋が当日空いていれば優先的に案内される 

パークホテル東京 アーティストルーム「桜」。
クマさん
わあ・・・・・・!満開の桜と金色の雲がすごくきれい!
にゃんこ
反対側の壁と天井は濃い青色で、金色の蝶がたくさん飛んでいるよ!
早乙女さん
蝶は金色の絵具で描かれています。雲の部分は金箔で、部屋全体で400枚もの金箔が使われているんですよ。
金箔で雲を表現。
蝶は金の絵具で描かれている。
季節を問わず、ベッドの上でお花見気分が味わえる。
クマさん
金箔の光が優しくて、すごくいい気分!
にゃんこ
ベッドに座ると、満開の桜の下でお花見している気分になるね。
早乙女さん
「まるでアートの中にいるみたい」とおっしゃっていただくことも多いですね。このお部屋のアートを手掛けたのは日本画家の大竹寛子さん。儚(はかな)さの象徴として桜を描き、部屋を舞う蝶は春・夏・秋・冬という四季の巡り、また人の生死といった「循環」を表しているそうです。すぐに散ってしまう桜や命の短い蝶の「儚さ」に美を見出すのは、日本人独特の美意識。大竹さんはこの作品について「桜や障壁画に古くから用いられてきた金箔を使った表現から華やかさ、そして日本独特の儚さへの美意識を感じていただけたらと思います」とのメッセージを寄せています。
制作中の様子。
アーティストの大竹寛子さん自ら金箔を1枚ずつ貼り付けていく。

クマさん
確かに金箔はすごく華やかなんだけど、派手ではなくて儚い感じがするね。
早乙女さん
それは金箔が周囲の光によって輝きを変えるからかもしれません。外が明るいときは金箔が光を反射して明るく輝きますが、外が暗くなると金箔の輝きも穏やかに。時の移ろいとともに作品の表情が変わるのを見られるのも、この部屋に泊まる醍醐味の一つです。宿泊されたお客様からは「時間の経過とともに作品の表情が刻々と変化していくのを楽しめました」との感想も寄せられています。にゃんことクマさんも、昼から夜、夜から朝へと変わりゆくアートをお楽しみくださいね。
にゃんことクマさん
楽しみだなあ~。早乙女さん、ありがとうございます!

金箔の光にはリラックス効果も?

アーティストルーム「桜」で一夜を過ごしたにゃんことクマさん。金箔アートを満喫できたかな?

早乙女さん
おはようございます!「桜」での時間はいかがでしたか?
にゃんこ
おはようございます!とても快適で素敵な時間でした。早乙女さんのおっしゃったとおり、時間帯によってアートの見え方が変わるのがわかりました。金箔の雲、本当にきれいだったなあ~。
昼(左)と夜(右)で表情が変わるアート。
クマさん
天井の蝶もすごくきれいだったよね。昼間は楽しそうに飛び回っていた蝶たちが、夜は静かに舞っているように見えたよ。眺めているうちに、いつの間にかぐっすり眠っちゃった(笑)。
早乙女さん
それは何よりでした。金箔の光が優しいからでしょうか、「桜」をご利用されたお客様からは「すごくリラックスできた」というお声をよくいただきます。パークホテル東京には他にも金箔や銀箔を使ったアーティストルームがあるので、ぜひまた泊りに来てくださいね。
他にも、金箔や銀箔を使ったアートが楽しめるアーティストルーム。
アーティストルーム「城」(左)、アーティストルーム「侘び寂び」(右)

にゃんこ
わあ!どちらもすごくカッコいいお部屋ですね!
クマさん
次に来たときは、ぜひこの2部屋に泊まってみたいね~!
にゃんことクマさん
早乙女さん、ありがとうございました!

広がる金箔の可能性

アーティストルームでの時間を満喫したにゃんことクマさん。
早速、博士に感想を伝えにやってきました。 

にゃんこ
博士、ただいま!アーティストルーム、とても素敵だったよ。
博士
おかえり!楽しめたようで何よりじゃ。
クマさん
本当にきれいだった!僕、金箔が大好きになったよ!
博士
金箔は、最近ではアートや工芸だけでなくファッションや料理の飾りつけなどにも使われているから、探してみてごらん。
にゃんことクマさん
へえ~!興味津々!
博士
時代とともに用途は変わっても、金箔の控えめな輝きを愛する日本人の美意識は、今も脈々と受け継がれているんじゃ。パークホテル東京のように金箔と身近に接することができる場所が増えれば、金箔の可能性はますます広がっていくじゃろうな。
にゃんこ
僕たちも金箔の魅力をいろんな人に伝えていきたいな。博士、いろいろ教えてくれてありがとう!

取材協力:パークホテル東京
https://parkhoteltokyo.com/ja/

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