「眠れる資源」がたくさん!
地球上に8種類(金 、銀 、プラチナ 、パラジウム 、ロジウム 、イリジウム 、ルテニウム 、オスミウム )しか存在しない、貴重な金属。それが貴金属です。貴金属というと、例えば高価なジュエリーや金の延べ棒といった印象が強く、「自分には縁のないもの」と思っている人もいるかもしれません。でも、実は貴金属は、家庭にある家電製品や電子機器の部品や素材にも使われている、ごく身近な存在です。たとえば、次のような製品にも、貴金属が含まれています。
※各製品に使われている貴金属のうち、ここでは一例を紹介しています。
車の心臓部であるエンジンの内部は、点火のたびに超高温の過酷な環境になります。それに耐えるプラグ材として、イリジウムやプラチナ合金が使われています。
ゲーム機の中に入っている半導体やコネクタなどに、金や銀などの貴金属が使われています。
光を反射する性質を利用して、銀が使われています。また、窓ガラスには、赤外線を反射するガラスに使われる特殊な膜に、銀が含まれています。
LED照明の明るさを高める部品に、銀が使われています。
テレビの中には電気信号を送るためのチップなどたくさんの部品が入っており、銀などの貴金属が使われています。
スマートフォンに内蔵されている水晶振動子(周波数を安定させる部品)を外気から守るために、金とすずの合金が使われています。
パソコンに欠かせない半導体内部で電気をつなぐ線「ボンディングワイヤ」には、電気を伝えやすく、かつ長時間使用できる耐久性の高さを活かして、金が使われています。また、パソコンの内のデータを保存するハードディスクには、プラチナ合金が使われています。
太陽光発電に欠かせないソーラーパネルには、発電効率を高めるため、電極部分に銀が使われています。
「水素」と「酸素」を化学反応させて発電する燃料電池には、触媒としてプラチナが使われています。例えば燃料電池自動車は、発電の際には水しか排出されず、環境にクリーンな自動車です。
使わなくなった製品に入っている貴金属は、
しっかりリサイクル
ひとつひとつの製品に使われている貴金属量はわずかずつですが、例えば下の図のような流れで適切にリサイクルし、貴重な資源として再利用することが大切です。
例えば、パソコンの主要パーツであるCPUを60個集めると、金鉱石1トンに含まれる金と同じ量をリサイクルできます。つまり、金鉱石を探して採掘するよりも、使用済みのパソコンをリサイクルしたほうが、ずっと効率よく金を手に入れられるということです。しかし、実際には、使わなくなった家電製品や携帯電話はリサイクルされず、家庭やオフィスに置かれたままになってしまうことも。私たちが住む街には貴金属をはじめとする資源を含むものがたくさんあることを、都市にある鉱山にたとえて「都市鉱山」と呼びます。そこで近年、この「都市鉱山」を、積極的に有効活用しようという機運が高まっているのです。
都市鉱山における貴金属の総量は年々増え続けていて、一部の貴金属については今や地中に埋まっている量を上回っているとも言われています。大切な貴金属を有効に使い続けるためにも、身近な都市鉱山に眠る貴金属を上手にリサイクルしていきたいですね。