田中貴金属の
フラットな空気を活かし、
多様な視点で貴金属の可能性に挑む。
T.S.|田中貴金属工業株式会社/製造技術
貴金属の希少性と、
フラットな社風に惹かれて選んだ道。
幼い頃から本で元素の周期表を眺めていて、物質の特性に興味を持っていました。その後も物質の特性についての興味は薄れることなく、大学では電気化学分野に進学。鉄の腐食の際に発生する水素を可視化するセンサーの開発をしていました。その一方で、同じ研究室で貴金属を扱う知人を見ているうちに、徐々に貴金属の魅力に惹かれていきました。特に魅力を感じたのは、その汎用性の高さです。例えば、Auだけでも、医療分野ではインフルエンザ等の診断キットに使用されていますし、優れた電気伝導性や耐腐食性からボンディングワイヤや接点材料など精密機械にも利用されています。貴金属は基本的に高価な物質ですが、それでもこれだけ幅広い分野で使われているということは、貴金属にはその価格を上回るほどの価値があるということ。そんな貴金属を扱う仕事がしたいと思うようになっていきました。
貴金属業界の中でも田中貴金属工業を選んだ理由は、風通しの良い人間関係です。田中貴金属のインターンシップにも参加していたのですが、学生である自分の発言も同じ土俵で考えてくれる雰囲気を感じました。また、入社時の面接でも、面接官が自分と同じ目線で話をしてくれたように感じ、この会社であれば、高いポテンシャルを持つ貴金属という素材を扱いながら、フラットかつ親身に接してくれる社員に囲まれて働けると思い、入社を決めました。
未知の可能性まで想像し、
貴金属の可能性を創造する。
私が現在担当しているのは、AuSnリッドの開発と不良原因の特定です。水晶振動子と言われる、安定した周波数を維持する役割を持つ電子部品があるのですが、その部品を真空にするための蓋となるのがAuSnリッド。実はスマートフォンにも使われているほど身近な部品ですが、とても小さいために安定して生産することが難しい製品でもあります。AuSnリッドの製品としての特性を引き出すためには、AuSn合金を正確な場所に融着する必要があります。水晶振動子を真空状態にするためには完璧に密封する必要がありますが、内部にまでAuSnが流れ込んでしまうと電子部品としての特性が失われてしまいます。その上で、小型化等のお客様のご要望にも随時対応しつつ、個数も数億個という単位で大量かつ安定的に製造しなければなりません。あらゆる方面からの要求に全て応えるべく、日々試行錯誤を繰り返しています。
AuSnリッドの開発と並行して担当している不良原因の特定業務では、まず評価装置を使って表面の状態を調査します。異物が紛れ込んだと判断された時は、断面を切って、断面の状態から原因を予想していくというような評価をする場合もあります。原因の特定が難しいこともありますが、時にはセオリーから外れているようなことまで想像力を働かせながら、周囲とアイデアを出しあっています。この業務で意外だったのは、学生時代の研究が活かせている点です。扱う素材は鉄と貴金属という全く異なるものですが、不良品特定における表面状態の観察方法や評価方法は学生時代に行っていたものと共通する部分も少なくありません。他にも、データの解釈の仕方やプレゼンなどの場面でも学生時代に磨いたスキルを活かすことができており、当時の努力は無駄になっていないと感じています。
視野を広く持ち、知見を広げ、
貴金属の未来を拓く技術者へ。
田中貴金属工業には職場のフラットさを感じて入社しましたが、入社から7年経った現在でも、その印象は変わりません。年次や役職に関係なく意見を言いやすい風通しの良さや、若手社員でも提案内容が良ければ採用されるという挑戦しやすい環境があります。休憩中にはプライベートの雑談も飛び交うほど社員同士の関係性が良く、気軽に相談ができるという点で業務においてもプラスに働いています。フランクにコミュニケーションが取れるものの、決して適当というわけではなく、やる時はやる。こうしたメリハリがしっかりしているところも田中貴金属の魅力だと感じます。
こうした働きやすい環境にも助けられながら、引き続き開発業務に取り組んで、いずれは一流の技術者になりたいと考えています。私の考える一流の技術者とは、お客様が満足できる製品を作ること。当たり前のことに思えるかもしれませんが、お客様を満足させる製品を生み出すためには、あらゆるご要望に応えるための柔軟な発想力や、それを形にする技術力、そしてお客様の要望を正確に把握する力が必要不可欠。技術の研鑽に励みつつ、時に先輩や上司の力も借りて成長を続け、理想とする一流の技術者になれるようこれからも頑張っていきます。