貴金属業界を知る非鉄金属業界とは
INDUSTRY
「非鉄金属」って、いったい何?
金属は大別すると、「鉄」と「鉄以外」の2つに分かれます。現在、世界には鉄を含めて約40,000種類の金属材料があるとされていますが、そのほとんどが「鉄以外」のいわゆる「非鉄金属」とよばれるものです。種類は豊富なのに、なぜ「鉄以外」という大まかな分類をされてしまうのでしょうか?その理由として、鉄のほうが、他のすべての金属を合わせても圧倒的な量を誇っており、鉄とそれ以外の金属として区別したほうが、便利で分かりやすいことがあげられます。しかし、この2つは工業的または経済的な理由による分類に過ぎず、特別な意味はありません。実際、非鉄金属であるチタン、ニッケル、ジュラルミンなどは水素自動車や航空機、ロケットなどの最先端の分野をふくめ、さまざまな産業で数多く使われています。ちなみに非鉄金属は、下記の図表のように3種類に分類されます。
貴金属が産業を輝かせる
非鉄貴金属の一つである「貴金属(プレシャスメタル)」には大きく分けて2つの魅力があります。
一般的には宝飾品やジュエリーなどのイメージが強く、遥か6,000年の昔から人類が愛し続けた貴金属としての魅力。もう1つは近代から現代に至るまで産業の発達を根底から支え続けてきた、素材としての魅力です。
金と銀の他、白金族である白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類を加えた8種類の元素が貴金属に属します。貴金属は稀少で、高価で、耐熱性や耐腐食性があり、近年では、それぞれが持つ固有の物理的特性、化学的特性などが重視され、最先端技術のキーマテリアルとして、他のものでは代替えできないものとなっています。
非鉄金属業界の将来
非鉄貴金属の需要のほとんどが、自動車・家電・電子機器・住宅業界に占められています。これら主要な業界の成長が、非鉄金属業界の発展にダイレクトに反映されています。
非鉄金属業界の将来性については、3つのポイントで示すことができます。1つは自動車業界に見られるように「海外での生産拡大」です。家電・電子機器などの業界においてもグローバル化しています。2つめは、今注目されている「『持続可能性のある社会』への貢献」です。需要の高い金属材料は産出量が少なく、希少性のあるものが大半を占めています。さらに、非鉄金属の原料となる鉱石のほとんどは海外から輸入しており、安定した原料の確保のためにも、リサイクル技術の発展が欠かせないものになってきます。
最後の3つめは「次世代産業の発展への寄与」。たとえば、水素自動車や宇宙ステーション、リニアモーターカー、さらに医療においては抗がん剤など、最先端分野の製品には、随所に金属材料が利用されています。今後も、産業の発展には金属材料が欠かせないといっても過言ではありません。