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#プラチナ

結婚指輪、
日本でプラチナが
人気なのはなぜ?

世界的にみると結婚指輪はゴールドのリングが主流ですが、日本では多くのカップルがプラチナのリングを選ぶと言われています。なぜ、日本ではプラチナを選ぶ人が多いのでしょうか?日本人がプラチナを好む理由を探ってみました。

婚約指輪の9割、結婚
指輪の8割超がプラチナ

日本では「結婚指輪」と聞くとプラチナの結婚指輪をイメージする方が多いのではないでしょうか。プラチナジュエリーの国際的広報機関「プラチナ・ギルド・インターナショナル」によると、2021年に日本で購入された婚約指輪の92%、結婚指輪の82%がプラチナだったそうです(※1)。この数字を見るだけで、プラチナリングの人気ぶりがわかりますね。

日本人が結婚指輪にゴールドよりもプラチナのリングを選ぶことが多い理由には、次のような説があります(※2)。

日本人の結婚観に
ぴったりだから

花嫁衣裳の白無垢に象徴されるように、白は花嫁のための特別な色であり、日本人の結婚式に欠かせない色です。控えめでありながらも、白く美しい輝きを放つプラチナは、奥ゆかしく上品であることを好む日本人の結婚観にぴったりのジュエリーとして定着していったと考えられています。

手入れしやすく日常的に
身に着けやすいから

プラチナは時間が経っても変質することがなく、傷がつきにくい上に、色も輝きも変わらないため、頻繁に手入れをする必要がありません。また、色や輝きが控えめで身に着けるシーンや服装を選ばないことも、結婚指輪にプラチナが選ばれる理由の一つと言われています。

皇室の影響を受けたから

日本でいち早くプラチナジュエリーをファッションに取り入れたのは、皇室の方々でした。特に、プラチナのティアラを着けておられる姿を見て憧れた人たちが、プラチナをブライダルジュエリーとして身に着けるようになったと言われています。

日本人とプラチナの歴史

こうしてプラチナが日本人のブライダルジュエリーの定番となったこともあり、日本は世界でもトップクラスのプラチナ消費国となっています。

しかし、意外なことに日本におけるプラチナの歴史は、そう長くはありません。日本人が初めてプラチナに接したのは江戸時代後期、プラチナジュエリーが輸入されるようになったのは明治時代になってからのことでした(※3)。当時の日本では金よりも銀が人気だったこともあり、銀のように白くて美しく、しかも黒ずむことのないプラチナは、すぐに日本人の心をとらえ、「白金(はっきん)」という和名で、主に上流階級の人たちの間で愛用されるようになりました。

1891年(明治24年)には村松万三郎という金工師が、日本で初めてプラチナの溶解(金属を液体状に溶かして加工しやすくすること)に成功(※4)、日本国内でもプラチナジュエリーが製造されるようになりました。

控えめで上品な美しさをもつプラチナは、「わび・さび」を大切にする日本の伝統工芸との相性も良く、大正時代になると帯留めやかんざし、といった和の装飾品にもプラチナが使われるようになってきました。日本の匠の技とプラチナが融合した美しい日本のプラチナジュエリーは、本場ヨーロッパとは異なる独自のスタイルに進化を遂げ、世界中のジュエリー愛好家を魅了し続けています。

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