仕事を知る/生産

安全のベースは髪の毛よりも細い線

PROJECT STORY

貴金属は伸びる。今、世の中に出ている線材で一番細いものは10μ。髪の毛よりもさらに細い金属の線が車両や半導体メーカー、ガス施設など安全を司るセンサーに使われています。10μを作り出す作業はもはや職人技。決して人々の目に見えることはありませんが、細く強い線が確実に人々の命を守っています。その部署で奮闘する入社3年目、坂元 隆寛の働き様を追います。

戸惑いから始まった社会人生活。

大学の恩師の勧めが決め手となって、私はこの会社に入社しました。大学時代の専攻は機械系。シーケンス制御などを学んでいたのですが、配属されたのは材料の分野。機械の保全やシステムなどをやりたいと思っていたのでとまどいの連続で、さらに配属されて早々に大きな不良を出してしまいました。納品した線材に汚れが見つかり返却されてきたのです。納期までにもう一度納めなければならないのですが、どう考えても間に合わない。私が扱った金属は変色しやすい材料だったにもかかわらず、その知見がなかったのが原因です。学んできたことと違う分野に配属となり、しかもミスをしてしまった。ヤバい!と思うことしかできなかった。そんな私を助けてくれたのが周りの先輩方でした。私の部署ではそれぞれがそれぞれの開発テーマを持っているため、やっていることはみな違うし自分の仕事で忙しいわけです。そんな状況でも全員が協力してくださって奇跡的に納期に間に合わせることができ、クオリティもしっかり担保することができました。

機械と仕事をしているわけじゃない。

この件をきっかけに、視座があがりました。金属を溶解して、棒状にしてそこからワイヤへと加工していくのが私の仕事ですが、側から見れば機械に向かって黙々と作業しているように映るかもしれない。しかしその作業は、私たちの技術を求めているお客様がいて、その先にエンドユーザーがいて、そのためにある。機械と仕事をしているわけじゃない。当たり前ですが、仕事は人と人のつながりでするものです。特に機械工学が専攻分野だった私からすれば、目からウロコの出来事でした。そしてもうひとつ気付かされたことは、機械は機械の知識だけではつくれないということです。材料の知識がないといけない。“この材料はこういう風に加工したいから、こういう機械が必要”というようなアプローチです。いずれ設備や機械の保全の部署に転属したいという希望もあるにはあるのですが、仮に異動になったとしても確実に今の知識と経験が役にたつはず。そう考えると、最初の配属は通るべき道だったのだと思います。もはや戸惑いも迷いもありません。

大家族主義というチームプレイ。

特に私たちがつくる金属のワイヤは、人の安全を守るセンサーなどに使われます。髪の毛よりも細い線が熱を認識し、人々に危険を知らせる。安全を守る。そう思うと、強く細くそれでいて量産できる線を生み出すにはどういう機械であるべきか、という思考に至るわけです。細すぎてもいけないし、強くなければ意味がない。人の命に関わることですから。ミスがきっかけとはいえ周囲と関わり合うことで視野も可能性も広がるのは、大家族主義という田中の社風があるからです。私が一番強調したいことでもあります。みなが自分の仕事(テーマ)を持っていて、それぞれの腕を発揮していて、助けが必要な人がいればサッと集散して解決してまた自分の仕事に戻っていく。チームプレイの本質ではないでしょうか。そして自分たちの努力が人々の命を守り、且つ社会貢献にもつながっていることをみんなが理解し誇りに思っているからこそこの社風が醸成され、結果、先頭を走り続けていられるのだと思います。その一員として、これからも貴金属の未知なる可能性を追求していくばかりです。

PROFILE

田中貴金属工業株式会社
伊勢原工場
製造技術セクション 伸線

坂元 隆寛