CSR(企業の社会的責任)

研究開発

田中貴金属グループにとって、研究開発は価値創造の源泉です。
広い視野をもって貴金属の可能性を追求し、より豊かな社会、そして美しい地球の未来への扉を着実に開き続けています。

半導体検査装置向け「プローブピン用新合金TK-FS」を開発
~同一材料で幅広いタイプに対応することが可能~

 田中貴金属工業(株)では、主に半導体パッケージのファイナルテスト用(後工程)のテストソケットにてポゴピンタイプで使用されるプローブピン向けに、パラジウム(Pd)系素材を多く製造販売していました。今回発表した「TK-FS」は、ポゴピンタイプのみならず、ウェハーテスト用(前工程)プローブカードのカンチレバータイプや、バーチカルタイプなど、幅広いタイプのプローブピンに対応できる材料です。本製品は、ビッカース硬さ500以上、電気抵抗率7.0µΩ・cm以下、10回以上の繰り返し折り曲げ耐性という3つの機能を有します。高硬度、低電気抵抗率、高屈曲性という3つの機能を同時に達成する材料は、田中貴金属工業(株)の既存製品にはありませんでしたが、本製品はこの課題を解決することに成功し、同一材料で、さまざまなタイプのプローブピンへの適用が可能となりました。

「TK-FS」製品 「TK-FS」製品

半導体の微細化と耐久性向上に寄与する新たなルテニウム成膜プロセスを確立

 田中貴金属工業(株)では、ルテニウムを中心に次世代半導体に向けた高純度の貴金属プリカーサー「TRuST」の開発を行っています。その成膜にあたっては酸素による1段階成膜がこれまでの主流プロセスでしたが、このたび、酸素と水素を用いた2段階の成膜プロセスの確立に成功しました。
 この2段階成膜では、水素成膜によって下地の表面酸化のリスクが低減され、酸素成膜によってルテニウムの純度をほぼ100%に保つ高純度の成膜を行うことが可能です。さらに先に水素成膜で下地を形成することで、その上の酸素成膜によるルテニウム膜も平滑で緻密となり、従来以上の低抵抗値を実現します。今後、半導体のさらなるスケール縮小に伴い、ルテニウム膜においてもより薄く低抵抗な成膜の需要が見込まれる中、2段階成膜によってその課題を解決することが可能です。

TRuSTによる2段階成膜イメージ図(上)、TRuSTによる2段階成膜の断面SEM画像(下) TRuSTによる2段階成膜イメージ図(上)
TRuSTによる2段階成膜の断面SEM画像(下)

100%リサイクル材のみを利用した再生貴金属材「REシリーズ」を発表

 REシリーズ(読み方:アールイーシリーズ)は、金(Au)や白金(Pt)などの貴金属資源において100%貴金属リサイクル材のみを精製利用した再生貴金属材です。田中貴金属工業(株)では、創業以来、貴金属リサイクル事業を行ってきましたが、このたび、REシリーズ製造ラインを拡充することにより、100%リサイクル貴金属材のみを用いた製品提供を進めることとしました。田中貴金属工業(株)が提供するREシリーズ原料の製品はすでに第1弾としてめっき液用化合物に適用されていますが、第2弾として、田中電子工業(株)が製造する「金ボンディングワイヤ」へも製品展開いたします。

REシリーズロゴ
REシリーズロゴ

ボンディングワイヤ製品
ボンディングワイヤ製品

知的財産の創出と保護

 発明、考案、意匠、商標、著作物などの知的財産およびノウハウは、企業の重要な財産であるとの認識のもとに、積極的な創出に努めています。新技術の研究、製品・商品の開発、生産および販売にあたっては、第三者の知的財産権を尊重し、侵害行為に対しては各国の法令に則って厳正に対処しています。また、知的財産への意識向上のため、技術部門を中心に年間を通して知的財産教育を実施しています。