CSR(企業の社会的責任)

地球環境を守る

美しい地球を未来へ継承することは、国際社会共通の課題であり、大きな挑戦でもあります。
田中貴金属グループは、事業活動による環境への負荷を最小化するために、あらゆる可能性を追求しています。

2050年カーボンニュートラル宣言

 2022年4月に「田中貴金属グループ カーボンニュートラル宣言」を表明し、2050年にCO2排出量実質ゼロをめざすことを宣言しました。また、社長をプロジェクトリーダーとする全社横断プロジェクトチームを立ち上げ、工場でのエネルギー効率の向上や脱炭素社会に貢献する製品開発など、カーボンニュートラルの実現に向けた対策を進めています。

田中貴金属グループ カーボンニュートラル宣言

カーボンニュートラル宣言

 田中貴金属グループは、地球温暖化という地球規模の社会課題に対し、2050年までにカーボンニュートラルの達成を掲げ、脱炭素社会に資する技術を自らそして社会に積極的に実装していくことで、地球温暖化問題の解決に挑戦します。
 事業活動に伴う温室効果ガスを削減するために、自社工場・事業所では、エネルギー効率の向上と製造プロセスの改善、使用するエネルギーのグリーン化など、排出量削減の活動を継続的に実施していきます。
 同時に、温室効果ガス削減に貢献する触媒やEV化等に伴う高機能材料など脱炭素社会に向けて取り組むお客様のご期待に応える製品を提供いたします。さらには貴金属リサイクルビジネスの強化によって循環型社会へ貢献することで、豊かでサステナブルな地球の未来を私たちの手で創り出します。
 また、「TANAKAの森」を創るなど、植林や森林の再生を保全する活動も視野に入れて進めていきます。
 田中貴金属グループはこれらの活動を通してカーボンニュートラルを目指します。
 2022年度より社長直轄の全社横断的なプロジェクトチームを結成し、具体的な対応策を検討し実行していきます。これからも田中貴金属グループは、貴金属独自の特性を活かした製品・ソリューションを通じ、お客様はもとより社会全体に価値を提供していきます。

地球温暖化防止の取り組み

 田中貴金属グループでは、省エネ法に準拠するため国内拠点においてエネルギー原単位を毎年1%改善する目標を定めています。2022年度はグローバルでのCO2排出量が前年度比3.5%減となりました。一方、日本国内のエネルギー原単位は前年度比3.5%増(2013年度比32.5%減)となりました。
 今後もさまざまな機器の効率化や運用改善などの省エネルギー活動を強化します。

全社目標>>エネルギー原単位を毎年1%改善

エネルギー使用量、原単位の推移(日本国内)

CO2排出量の推移(グローバル)

事業所別のCO2排出量(2022年度)

太陽光発電の導入

 三友セミコンエンジニアリング(株)では2022年度に太陽光発電を導入しました。2022年度は年度途中からの稼働でしたが、工場全体の年間エネルギー使用量に対して8%のエネルギー削減効果となりました。

三友セミコンエンジニアリングに設置した太陽光パネル

太陽光発電導入工場リスト

グループ会社のMetalor Technologies International SAでは、スイス、フランス、米国、メキシコ、中国、香港の各拠点で太陽光発電を導入しており、メタローグループ全体のCO2排出量を13%削減しています。

フランス クルヴィル
フランス クルヴィル

メキシコ サン・ルイス・ポトシ
メキシコ サン・ルイス・ポトシ

循環型社会の構築をめざして

 田中貴金属グループは、創業以来絶えることなく貴金属のリサイクルを継続してきました。今日では全従業員が「地金はお金」を合言葉に生産設備内はもとより作業服などに付着した極微量の地金も丁寧に回収しています。
 2021年度より始まった中期実行計画「TANAKAルネッサンスプラン」では、循環型社会の構築、ならびにサーキュラーエコノミーの実現に向けた施策を強化すべく、「直接材/間接材/産廃(産業廃棄物)」の3つの領域で当社の活動を再整理しました。

直接材 貴金属の循環利用

田中貴金属グループ地金フロー図(2022年度)

資源生産性(売上総利益/外部調達地金量)

循環利用率(循環利用地金量/総地金投入量)

 「資源生産性」は、外部調達地金1トン当たりの利益であり、環境視点での「稼ぐ力」といえます。「循環利用率」は、総地金投入量に占める自社でリサイクルした地金量であり、約8割で推移しています。今後、これらの環境指標を改善することで、循環型社会の構築とサーキュラーエコノミーの実現に貢献します。
循環型社会の実現と経済活動を両立させる概念。廃棄物や事業活動のムダから富を生み出すことが求められる。

間接材 CSR報告書の再資源化

 間接材での資源循環の取り組みとして、2019年度よりCSR報告書をLIMEX(ライメックス)で印刷し、読み終えた冊子を回収して再利用しています。これまでにコースター、コップとして再生し、全従業員へ配付しました。3回目は社内での再利用ではなく、より広く社会貢献につなげるため、鎌倉市の中学校9校で使用される給食用のトレーへ再生して寄贈しました。
LIMEXは、地球上にほぼ無尽蔵に存在する石灰石を主原料とし、水と木材パルプをほぼ使用せずに紙やプラスチックの代替となる環境に配慮した新素材です。「田中貴金属グループCSR報告書2023」では、1冊につき約15Lの水を守ることができます。

 田中貴金属グループでは、国内拠点において産業廃棄物排出量を毎年1%削減する目標を定めています。
 2022年度は新たに廃液の有価物化に取り組んだ結果、産業廃棄物排出量が前年度比25%減となりました。事業拡大に伴う廃棄物の発生を抑制できるよう、さらなる対策を進めます。

全社目標>>産業廃棄物排出量を毎年1%削減

産業廃棄物排出量の推移(グローバル)

産業廃棄物排出量の内訳(2022年度)(日本国内)

水使用量の削減

 世界的に水不足への懸念が高まっており、事業活動における水使用量の削減に努めています。グループ全体の水使用量を工場別にみると、湘南工場、富岡工場で全体の約半分を占めています。
 今後も排水処理による自工場内での水リサイクルやプロセス改善などにより、水資源の有効活用に努めます。

水使用量の推移(日本国内)

水使用量の内訳(2022年度)

水リスクの把握

 全工場の水使用量と、立地地域における平均降水量を把握しています。降水量の少ない時期を水リスクが高まる期間と想定し、水使用量の削減をめざしています。

水使用量と平均降水量の相関(例)

環境マネジメントシステム

 国内の全生産拠点で環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証を取得し、環境保全活動を実施しています。特に、CO2排出量削減(地球温暖化の防止)、産業廃棄物排出量削減(循環型社会の形成)、環境異常撲滅活動(汚染の予防)については、グループ全体の目標を定め積極的に取り組んでいます。
 環境保全活動を着実かつ円滑に推進するために、各工場・事業所長で構成される中央環境委員会を最上位としたグループ組織体制を構築しています。また、SHE推進室長会議、環境管理者で構成される環境専門部会を定期的に開催し、情報共有および積極的な意見交換を重ねています。
SHEは、英語の「安全、衛生、環境」の頭文字です。

環境保全推進体制

ISO14001認証取得事業所一覧

環境異常撲滅活動

 水質汚濁、大気汚染などを未然に防止するため、法規制値よりもさらに厳しい社内自主基準値を設定しています。この自主基準値を超過した場合を「環境異常」と定義しており、さまざまな未然防止活動・再発防止対策を行っています。

主な社内ルール

環境異常発生件数

環境汚染の防止

 「特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律(PRTR※法)」に基づく対象物質について、環境への排出量および事業所外への移動量を国に届け出ています。
 今後も環境汚染を防止するため、事業活動における化学物質の適切な管理に努めます。
PRTR Pollutant Release and Transfer Register
(化学物質排出移動量届出制度)

PRTR対象物質の全排出量・移動量(日本国内)

生物多様性保全

 2020年度より、希望する従業員の自宅や工場の敷地内でノカンゾウ・ハマカンゾウを育てて、増えた株を元の生息地である鶴見川の川辺(神奈川県横浜市)と小網代の森(神奈川県三浦市)に返還しています。毎年夏になると美しいノカンゾウ・ハマカンゾウの花が咲くようになりました。
<この活動の目的>
 川辺や公園などに繁茂する「ネズミホソムギ」は花粉症の原因として知られ、草刈りでの除去は困難です。そこで、在来種であり地域の希少種でもあるノカンゾウ、ハマカンゾウなどで代替(グランドカバー)することで、ネズミホソムギ群落の抑制をめざしています。ハマカンゾウは盗掘被害に遭うことがあるため、安全な従業員の自宅や工場・事業所内での保護・育成を行っています。

 2023年5月に、4年ぶりとなる小網代の森ボランティアエコツアーを開催しました。当日は従業員および家族の計40名が参加し、ハマカンゾウの保全作業を行いました。また、森や干潟の散策を行いました。
<この活動の目的>
 2011年3月に発生した東日本大震災の際、小網代湾も数度の津波に襲われました。この時、小網代の森で海沿いに生息していたハマカンゾウの群落がほぼ全滅しましたが、残っていた28株を保護し、群落として復元する作業をNPO法人小網代野外活動調整会議が進めています。この活動を複数の企業が支援しており、田中貴金属グループも2018年度より参加しています。

エコカフェ開催

 2019年9月18日、東京ビル本社でエコカフェを開催しました。当日はオフィスビルにミニ水族館を設置し、多くの従業員が鶴見川の生きものとふれあいました。


  • ミニ水族館

 また、「多自然川づくり 花さくいるか丘陵プロジェクト」について岸代表にご講演いただくとともに、自然の大地に由来する「流域住所」を作成するワークショップを行うなど、生物多様性から防災まで深く考える機会となりました。


  • 岸代表による講演

  • ワークショップには田苗社長
    (当時)も参加

 くしくも、3週間後の2019年10月12日に関東を直撃した台風19号は大きな被害をもたらしましたが、ワークショップの参加者からは「流域住所をつくっていたので冷静に対処できた」「決壊した河川の情報ではなく、自宅が位置する流域の河川を自治体のライブカメラで見ていた」などの感想が寄せられました。