CSR(企業の社会的責任)
一人ひとりの活躍
多様性を増す従業員一人ひとりが輝ける職場環境づくりは、田中貴金属グループの将来にとって欠かせません。
すべての従業員が活躍できるように、さまざまな切り口から職場環境の整備に取り組んでいます。
働き方・休み方改革と多様な従業員の活躍
田中貴金属グループでは、多様な従業員がそれぞれいきいきと働ける職場環境づくりをめざしています。その一環として、働き方や休み方の見直しと改善に、複合的なアプローチで取り組んでいます。
年次有給休暇
2019年4月から施行された「働き方改革関連法」に対応するため、グループ全体で取り組んでいます。2018年度より「年次有給休暇5日以上の取得」を目標に掲げ、全事業所で達成しました。
介護と仕事の両立支援
従業員が介護と仕事を両立できる職場環境を整備するため、さまざまな取り組みを実施しています。
-
法定を超える制度
【介護休業】
要介護状態にある家族1人につき365日取得可能です。
【介護短時間勤務】
勤務時間は原則6時間、本人の希望により5時間まで短縮可能です。 -
相談窓口の設置
社内外に相談窓口を設置し、介護に関する従業員の相談に対応しています。 -
従業員への情報提供
従業員が介護に直面する前から介護に関する情報を得られるよう、年齢別研修での冊子の配付や社内イントラネットでの情報提供を実施しています。
くるみん認定取得(※2022年度認定取得 田中貴金属グループ4社)
「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣から認定を受けました。
次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し一定の基準を満たした企業が認定されます。引き続き、くるみん認定継続に向けて取り組んでいきます。
認定会社:
TANAKAホールディングス(株)/田中貴金属工業(株)/ EEJA(株)/田中貴金属ジュエリー(株)
※田中貴金属工業(株)は今回初認定
田中電子工業(株)は2025年認定に向け活動します。
子育てと仕事の両立支援
従業員が子育てと仕事を両立できる職場環境を整備するため、法令で定められている以上にさまざまな取り組みを行っています。今後も働き方改革とワークライフバランスの観点から、従業員の子育てと仕事の両立支援に取り組みます。
- 法定を超える制度
【配偶者出産時の特別有給休暇】
配偶者が出産した場合には、入院・退院・届出に充てるため、特別有給休暇を3日間取得可能です。
【育児休業】
原則1歳6か月(条件を満たした場合は最長2歳)まで取得可能です。
【育児短時間勤務】
最長で子が小学5年生となった4月15日まで適用可能です。
勤務時間は原則6時間、本人の希望により5時間まで短縮することが可能です。
【子の看護休暇】
最長で子が小学2年生となった4月15日まで取得することが可能です。
- 男性の育児休業等取得促進
配偶者が出産した従業員とその上司へのリーフレット配付や、役職者研修での冊子の配付を通じて、育児に関連する会社制度の周知および制度を利用しやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。
また実際に育児休業を取得した男性の声を聞く「ワーパパ座談会」を開きレポートを社内で公開するなど、男性の育児休業について具体的にイメージができるような取り組みも行っています。
男性の育児休業取得者は2016年度以降増加傾向となっています。
2022年度には過去最多の27人が育児休業を取得するなど、取り組みの成果が少しずつ表れています。CSRパフォーマンス今後も従業員の子育てと仕事の両立支援に向けた取り組みを拡充します。
男女の賃金格差(田中貴金属工業(株))
- 対象期間 2022年4月1日~2023年3月31日
- 常用労働者数301名以上の田中貴金属工業(株)日本国内従業員が対象
- 女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金により割合を算出
- 正規・非正規ともに複数の従業員区分を設定しているが、それぞれの従業員区分における給与処遇・評価基準については男女同一のものを適用
社内SNS「TUNAG」(ツナグ)の利用を開始
田中貴金属グループでは、「お互いを知る」ツールとして、そしてさまざまな活動の周知や関わっている人の想いを共有する場として、社内SNS「TUNAG」を立ち上げました。
- 社内の活動や広報物など、より多くの「従業員に知ってほしいコンテンツ」を掲載できます。
- スマートフォンからの利用も可能です。
- 従業員の自己紹介をリレー方式で展開する「社員名鑑」など、従業員がお互いをよく知り、「認め合い、褒め合う」企業文化の醸成を加速します。
異業種交流会/社内ゼミ 経営への提言
女性活躍をテーマに複数の企業が参加した異業種交流会、および田中貴金属グループの女性従業員による社内ゼミを開催しました。9か月間にわたる活動を、経営TOPへの提言としてまとめました。
各社事務局による、各社TOPへの共同提言
- 人材育成の本気の取り組み強化
- 意思決定層の多様化実現
- 計画的な女性採用実施
- 働き方の抜本的な改善
事務局間情報交換・社員交流・社外広報
社内ゼミ提言
- DE&I宣言発表のお願い
- 実働部隊の立ち上げ(DE&I推進室)
- 田中貴金属工業一般事業主行動計画(第2期)の提案および実施推進チーム設置
- アンコンシャスバイアス研修の実施
- 両立支援強化および相談できる場の設置
技術者としてキャリアを積む上でさまざまなライフイベントを迎える30代。そんな中、他社と交流し田中貴金属グループの女性活躍について考え活動する機会があると聞き、ゼミに参加しました。
活動は業務時間で行うため、反対されるかもと不安に思っていましたが、工場長も上司も、参加に対し快く背中を押してくれました。
ゼミ活動中も上司から「それも立派な仕事」と言っていただいたことがとても心強く、提言まで結びつけることができました。
ゼミの活動を行う上で、我々のような工場勤務者のほうが「男はコレ、女はコレ」といった性別による業務の偏りなどの働きづらさを強く感じているのでは?と思っていましたが、本社勤務の方からも、異業種交流会で他社の女性からも、また全社アンケート結果からも、多方面から働きづらさに関する話がたくさん挙がってきたことに衝撃を受けました。
男は仕事、女は家を守れば安泰という時代が終わり、現代は性別にとらわれず、キャリア志向の人もいれば、ワークライフバランスを重んじる人もいます。ワークとライフは0か1かの二項対立ではなく、それぞれの人が、それぞれのライフステージによって選択をする、まさに多様性の時代です。
ゼミでは、女性の働きづらさのひとつの原因として男女ともにある無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスがあることを学びました。
脳は無意識に考え方の偏りをもってしまい、それが発言、行動として出ることで組織の心理的安全性を低下させ、「こうあるべき」というバイアスが本人の生きづらさにつながり、組織のイノベーションを阻害してしまいます。
ゼミ終了後は、脳にはバイアスがあることを理解し、それでもなお考え続けること、対話をしていくことを心掛けるようになりました。バイアスの殻を破り、田中貴金属グループの技術者としてイノベーションを起こせるように、これからも頑張っていきます。
田中貴金属工業(株) 筑波事業所
製造技術セクション
松田 朋子
DE&I宣言とDE&I推進室設立
従業員一人ひとりの個性こそが価値を生み出す源泉と考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性、公平性、包括性)の推進を重要な経営戦略のひとつとして位置づけ、全社で取り組んでいくことを表明するDE&I宣言を策定しました。よりよい未来づくりに向けたイノベーションの創出と従業員の幸せ実現のために、以下の3つの指針に基づき活動していきます。
-
ダイバーシティ(多様性)
従業員一人ひとりが、互いの個性や違いを認め、尊重し合える組織を実現します。
-
エクイティ(公平性)
従業員一人ひとりが、能力を伸ばし最大限に発揮するための機会を提供します。
-
インクルージョン(包括性)
従業員一人ひとりが、互いに刺激し合い、共に成長できる環境を整備します。
これまでも、仕事と家庭の両立を支援する制度の整備や、男性育児休業取得者による座談会、社内意識調査などを通して働きやすい環境づくりに取り組んできましたが、2023年4月に専門部署「DE&I推進室」を立ち上げました。
2023年度はヒアリングのためのキャラバンを実施しました。各拠点の生の声を拾い、田中貴金属グループらしいDE&I施策づくりに役立てます。さらにDE&I実現のために、組織風土改革研修も計画しています。
心理的安全性のある組織づくり
DE&I推進室では、組織風土改革の一環として心理的安全性のある組織づくりを進めています。従業員一人ひとりが他者を尊重し、安心して発言できる組織をつくることが、イノベーションを創造し従業員の幸せにもつながると考えています。
まず“さん付けで呼ぼう+社内メールで間違った敬語に注意”というキャンペーンを始めました。肩書で呼び合うのではなくもっと気楽に声をかけ合い対話することで、お互いが刺激し合い成長できる環境づくり(インクルージョン)を促進したいと考えています。また、社内メールで不必要な表現や間違った敬語がないか見直すことで、過剰なフォーマリティー(形式的であること)を排除し、社内でのコミュニケーションをより円滑にしていきます。
さらにフォーマリティーの排除として、本社ではビジネスカジュアルを導入しました。相手が不快に感じないことを大前提として、服装を従業員の自主性にまかせています。DE&I推進室は、ビジネスカジュアルの正しい理解と浸透の支援を行っています。
障がい者雇用
障がい者雇用を強化するため、障がい者採用イベントに定期的に参加しています。また、少しでも不安を軽減して入社してもらえるように、入社前には、主な障がい特性・必要な配慮などに関する勉強会および職場見学会を実施しています。入社後は、長く安心して活躍してもらえるように、適宜、地域の支援機関や社内関係者と連携を取りながら、定着面談を定期的に行い、気軽に相談してもらえる機会を設けています。
2023年度より、障がい特性や具体的配慮に関する学習会、e-ラーニングを役職者向けに実施しており、職場の理解促進に取り組んでいます。
私は現在当社純金積立会員様向けの資産用地金梱包やTKJ直営店・特約店で買い取った資産用地金コインの検品・仕分け業務を担当しています。
私には生まれつき聴覚に障がいがあるため、人の会話や電話・放送はほとんど聞こえませんが、地金の鋳潰し(再販しないため刻印に傷をつける作業)のような大きな金属音は聞こえます。
幼少期に受けた聴覚口話訓練により話し手の唇の動きを読んだり自分から話すことはできますが、コロナ禍の今はマスクが外せないため相手の唇の動きが読めずに苦心しています。また、音声が聞こえにくいため職場の皆さんとのコミュニケーションづくりにいつも気をつけており、メールや筆談だけでなく音声変換アプリを使わせていただき業務に支障が出ないようにしています。職場の皆さんにも配慮してもらっているのでとても感謝しています。
工場勤務なので、自分一人で行動する時は警報音が鳴っても気づかずに逃げ遅れてしまう恐れや、後ろから来るフォークリフトや台車の音も聞こえないため進路妨害や衝突の不安もあります。身の周りで起こりそうなことを推測して行動していますが、推測違いや勘違いも多々あります。バリアフリー設備や工夫をしていつか障がい者も健常者もみんなで安心して働ける環境になってほしいと切に願っております。
田中貴金属工業(株)資材物流部 湘南分室
藤田 成美(障がい等級:聴覚障がい2級)
定年退職者の再雇用
高年齢者雇用安定法に基づき、62歳の定年を迎えた従業員が引き続き勤務を希望した場合、継続して勤務することができます。再雇用契約の期間は原則1年間とし、会社と従業員の双方の合意によって契約を更新します。再雇用の限度年齢は原則65歳としています。
人材育成
田中貴金属グループでは、従業員一人ひとりの成長が組織全体の活性化につながるように、新入社員から役職者まで体系的な教育プログラムに沿って計画的な人材育成を行っています。全部門共通研修では、入社時研修に加えて、35歳、45歳の節目に、これまでの自身のキャリアを振り返るとともに、今後の目標を策定することでさらなる飛躍・活躍をめざす研修を実施しています。当社グループの同年齢の従業員が一堂に会することで、新卒入社・中途入社にかかわらず横のつながりを形成し、お互いに刺激を受ける良い機会になっています。
技術系社員には「貴金属の基礎」「品質工学」「特許」の各講座を開講し、主に社内講師による技術伝承の場となっています。役職者に対しては、「マネジメント研修」を実施しています。研修内容は役職に応じて初級・中級・上級のカリキュラムに分かれており、マネジメント層のスキルを平準化・標準化するとともに、役職が上の者こそ率先して学ぶ風土を醸成し、組織の活性化を図ることを目的としています。